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離婚後も、子どもを監護していない親は子どもと面会を行います。この「面会交流」は子どもの健全な成長を助けるための場であり、さまざまな事情を考慮して実施方法を定めていきます。
親同士で話し合って具体的内容を決めるのが基本ですが、上手くいかないときは調停を申し立てることとなります。ここではそのときの手続について言及し、費用のことや必要書類のことについてもご紹介いたします。
面会交流の調停とは
面会交流を実施する頻度、子どもと会う場所、交流の方法、曜日や時間帯、引き渡しの方法などの詳細は、まずは父母の協議により検討するのが基本的な流れです。
裁判所など公的な機関を挟む必要はなく、当事者間で好きなようにルールを定めてもかまいません。
しかし離婚時に揉めているときは上手く協議がまとまらないことも多いです。そこで「なかなか条件のすり合わせができない」「2人だけで話し合いができる状況にない」といった場合には、家庭裁判所に調停の申し立てを行います。
調停とは、話し合いを裁判所がサポートして紛争解決を図る手続のことです。訴訟のように勝ち負けを裁判官が結論付けるものではなく、あくまで当事者間の合意・和解を目指す手続です。
面会交流に関しても調停で話し合いを進めることができ、純粋に2人だけで話し合う場合に比べて解決しやすくなります。
調停を申し立てる方法
面会交流の調停を申し立てることができるのは、「父」と「母」です。
申し立てを行う方が、相手方の住所地にある家庭裁判所(夫婦で決めた家庭裁判所でも良い。)にて手続を行います。同居しているときは特に意識する必要がありませんが、遠方で別居しているときは申し立て先に注意しましょう。
必要書類
面会交流の調停を申し立てるときは、次の書類を準備しないといけません。
必須の書類 |
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申立書とその控え3通 |
裁判所用・申立人用・相手方用の3通が必要。 申立書の書式は、裁判所の公式HP(https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazityoutei/syosiki_01_30/index.html)からダウンロードできる。 |
子の戸籍謄本 (全部事項証明書) |
最寄りの市区町村役場で取得可能。 ※本籍地が遠方にあるときでも、どこの役場でも取得が可能。 |
その他裁判所から提出を求められる書類例 |
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事情説明書 |
調停を申し立てた経緯・理由、調停で話し合いたい事柄などを記入したもの。 |
連絡先等の届出書 |
日中、連絡の取れる電話番号等を裁判所に伝えるためのもの。 |
進行に関する照会回答書 |
日程の調整、相手方と会わないようにする配慮のことなど、進行に関して共有しておくべき情報を記入したもの。 |
その他指示を受けることもありますので、例えばご自身の主張を裏付けるための資料を準備するなど、必要な備えを進めておきましょう。
費用
調停の申し立てには費用もかかりますが、次のように大きな額ではありません。
l 収入印紙1,200円分
・・・子ども1人につき1,200円が必要。
l 連絡用の郵便切手1,000円程度
・・・申し立て先の家庭裁判所にて要確認。
必要書類を準備するときの注意点
裁判所に提出した書類から、(元)配偶者に対して住所等の情報が漏れる可能性があります。
もし、相手方に知られたくない情報があるときは、提出書類に記載しないようにしてください。源泉徴収票の住所やマイナンバーなど、“裁判所に見える必要がない”と思われる部分に関しては、黒塗りにするなどして見えないようにしてから提出します。
一方で、相手方に知られたくないものの“裁判所に見せる必要がある”という箇所については、「非開示希望」または「当事者間秘匿」の手続を行いましょう。
相手に住所を知られると困るときの対処法 |
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非開示希望の手続 |
・相手方からの閲覧謄写申請に備え、事前に情報の非開示を希望するための手続。 ・住所などを知られることで、申立人自身あるいは家族の生活が危ぶまれるときに認められる。 ・裏付け資料の提出、手数料などは不要。 ・申立書以外の資料に含まれる、住所以外の情報も適用対象となり守られる。 |
当事者間秘匿の手続 |
・氏名や本籍、住所など、本人を特定する情報を隠すための手続。 ・個人の特定をされることで、申立人自身の生活が危ぶまれるときに認められる。 ・「秘匿決定の申立書」「秘匿事項届出書面」「社会生活に著しい支障が生じるおそれについての裏付け資料」の提出と、申立手数料が必要。 |
黒塗りや非開示等の手続を行わない場合、裁判所を介してそのまま相手方に居場所や連絡先などを知られてしまいます。DV被害を受けていたり子どもを連れ去られるリスクがあったりするときは、ご自身の手で見えないようにしてください。
もし、やり方についてわからないことがある、不安がある、というときは弁護士を頼りましょう。