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2024.05.10

相続人となる方には3つの選択肢があります。1つ目はそのまま相続を受け入れるという選択肢です。2つ目は清算手続を行い限定的に相続する選択肢。そして3つ目が一切相続をしないという選択肢です。
3つ目の選択肢は「相続放棄」と呼ばれ、多額の借金を残して亡くなった方についての相続でよく採用されています。相続によるリスクを回避するために重要な手続ですので、ここでそのやり方を押さえておきましょう。

「相続放棄」で借金の相続を回避できる


親や配偶者が借金をしていた場合、その債務者本人と近い関係にあるからといって返済義務を負わされることはありません。債権者から「支払え」と求められても応じる必要はなく、拒むことができます。
ただ、債務者が亡くなってその方を相続したときは、資産も負債もすべて承継することになります。借金が残っているときはその返済義務も引き継ぐこととなります。
そこで借金の相続を回避したいときは「相続放棄」を行いましょう。相続放棄をするとどうなるのか、このときの効果は民法に規定されています。 

(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

引用:e-Gov法令検索 民法939


相続放棄をすれば、相続開始時点に遡って「相続人にはならなかった」という扱いを受けます。
そのため「あなたは債務者の相続人だから借金を代わりに返しなさい」と求められても、相続放棄後はこの請求を拒むことができます。

相続放棄をすると資産も相続できなくなる


相続放棄をするときに注意すべきは、「借金の取得だけを回避することはできない」という点です。
選択的に財産の取得を放棄することはできないため、まるごと捨てるか、まるごと相続するかのどちらかしか道はありません。
もし「どうしても取得したい資産がある」という場面で相続放棄をしてしまうと、その資産を手にすることもできなくなってしまいます。そしていったん相続放棄をするとやり直しはききません。

そこで借金の有無だけに着目して相続放棄をすべきではなく、しっかりと遺産の調査を行わなければなりません。資産の割合の方が大きく、全体としてはプラスになるというときは相続放棄を無理にする必要はありません。
プラスになるかマイナスになるか、明確に判別できないというときは「限定承認」の手続も検討すると良いでしょう。
※限定承認とは、承継したプラスの財産の範囲でのみマイナスの財産の弁済義務を負うという手続。

 

相続放棄の方法


相続放棄をしようとするときは、上述の通り、まずは遺産の調査を行うべきです。
借金の存在やその大きさについて調べるのであれば、被相続人の自宅や口座の引き落とし履歴をチェックしてみましょう。借金に関する契約書が見つかることもあれば、毎月借金の返済として引き落とされている記録が見つかることもあります。
全銀協(一般社団法人全国銀行協会)やJICCCICなどに問い合わせて調べられることもあります。

その他の財産についても調べて、相続放棄をすることを決意すれば、必要書類を集めて家庭裁判所で手続を進めていきます。

必要書類の準備


相続放棄をするには「相続放棄の申述書」を作成しないといけません。窓口で受け取るかWebからダウンロードして、必要事項を記入していきましょう。
被相続人の「住民票除票(もしくは戸籍附票)」も取得しておく必要があります。

また、相続放棄の申述人が相続人であることの証明も必要です。この手続に限らず、相続人であることを示すときは戸籍謄本等(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍のこと)を利用しますので、被相続人から見た関係性(相続人としての順位)に対応した戸籍謄本等を用意しておきましょう。
少なくとも「被相続人の死亡から出生までの戸籍謄本等」は必要で、追加で次の戸籍謄本等が必要になることもあります。

l  子どもを代襲相続した孫

Ø  被代襲者についての死亡が記載された戸籍謄本等

l  親や祖父母

Ø  子どもが死亡しているときは、死亡した方の死亡から出生までの戸籍謄本等

Ø  祖父母の場合、被相続人の親が死亡したことについて記載された戸籍謄本等

l  兄弟姉妹

Ø  子どもや親が死亡しているときは、死亡した方の死亡から出生までの戸籍謄本等

Ø  代襲相続をした甥や姪の場合は、被代襲者の死亡が記載された戸籍謄本等

3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立


申立書や添付書類の用意ができれば、家庭裁判所にこれらを提出して、相続放棄の申述を行います。
※手続を行う家庭裁判所は、亡くなった方の住所地が管轄である家庭裁判所。

家庭裁判所に提出するだけではまだ相続放棄は完了していません。その後裁判所から照会書が送られてきますので、そこへ必要な事項を記載し、返送。さらにその後相続放棄が受理されたことを示す「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。これをもって手続は完了となるのです。

なお、申述が認められる期限は「相続が始まった事実を認識したときから3ヶ月以内」です。期限に間に合わせられないと、多額の借金があってもそのまま取得しないといけなくなりますので要注意です。
※期限を過ぎる前に期間伸長を求める手続をしておけば、3ヶ月を経過しても相続放棄をできるケースがある。

 

債権者に対する通知


以上の手続を済ませることで借金を含む一切の相続財産を取得することはなくなり、債権者からの請求も無視できるようになります。
しかし余計なトラブル、揉め事を起こさないように、可能なら債権者に対して相続放棄をしたことについて通知することも検討しましょう。請求に対する返答として、相続放棄申述受理通知書や相続放棄申述受理証明書を提示して「相続放棄をしました」と伝えると良いです。

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