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2022.02.03

両親が婚姻している場合には、子どもの親権について気にしないケースがほとんどです。しかし、離婚をするときにはどちらが子どもの親権を持つのか決めなければならず、親権に関するルールなどを知る必要があります。 そこでこの記事では親権について簡単に説明した上で、親権の決め方やその流れについて解説していきます。


親権について


そもそも親権とは、(未成年の)子どもに対する監護・養育、財産の管理をするとともに子どもの代理人となり法律行為を行う権利義務のことです。ただ単に育てさえすれば良いというものではありません。親権を持つ者には法律上一定の権利が認められますし、同時にそれ相応の責任も伴うのです。 大別して「財産管理権」と「身上監護権」から構成されています。 前者は子どもの財産につき包括的に管理ができるという権利です。子ども自身が持つ財産対しても親権を持つ者は権限を行使可能なのです。 後者は子どもの法律行為に対する同意や代理を行う権利のことです。他にも子どもの居所を指定する居所指定権や、しつけをする懲戒権なども含みます。 両親が婚姻している場合、共同でこの親権を持つことができるのですが、離婚後も共同で持つことは認められません。そこで、未成年の子どもがいる場合において離婚をするには、どちらが親権を持つのか決めないといけません。


まずは両親の協議で親権を決める


親権を決める流れとしては、まず、両親による協議から始まります。 両親が話し合いをし、合意が得られれば複雑な手続きも要することなく決せられ、問題は解決します。 「原則母親」「原則父親」といったルールはありませんし、話し合いにより自由に決めることが可能です。 離婚そのものに関しても合意が取れているのであれば、協議離婚として離婚届の中に親権者の記載をすれば良いです。逆に、未成年の子どもがいるにも関わらず、親権者記入欄に記載がない離婚届は受理をしてもらえません。 なお、状況に応じて親権の一部である監護権(身上監護権)だけを一方に付与することもできます。基本的には監護権を分離することなく親権者と監護権者が一致している方が望ましいのですが、例外的にこれを分けるケースもあるのです。 例えば財産管理権は父親に合った方がふさわしいものの、仕事で外出している時間が長く十分な監護ができないといった場合には分ける可能性があります。

【協議で決まれば公正証書を作成】

協議で決めることができたのなら、大きなトラブルも発生しておらず、比較的穏便に話が進んでいることが想定されます。 しかしながら、協議で決めた内容につき、後から不満が出てくることもあり得ます。 そこで、蒸し返しが起こらないよう、話し合いの内容は公正証書として残すようにしましょう。親権のことのみならず、離婚に関する協議内容をまとめて「離婚公正証書」を作成すべきです。 公正証書は原本が公証役場で保管されるため紛失のおそれがありませんし、他方が書面を保管することによる改ざん・変造のリスクも避けられます。 さらに、記載内容について公証人がチェックをしてくれるため、協議内容につき法令違反で無効になってしまう事態も避けやすいです。 公正証書の利点はこれらのほか「執行力」にもあります。 相手方が義務を履行してくれないということも起こり得るのですが、公正証書の効力として執行力が認められていますので、こうした問題を早期解決することができます。 要は、公正証書が作成されていることで「強制執行」が可能となるのです。単に書面として残しただけだと、その書面を証拠として用いることはできますが、強制執行にあたって訴訟提起、審理、そして勝訴の判決を受けなければなりません。非常に手間ですし、執行までに時間がかかってしまいます。 そこで執行力が重要になってくるのです。ただし、強制執行を認める旨記載しなければなりませんので注意が必要です。作成にあたっては法律のプロである弁護士に相談・依頼するとスムーズです。 なお必要書類は「本人確認書類」や「戸籍謄本」「印鑑証明書」などです。財産分与も併せて行う場合には通帳や不動産の登記など、別途必要になる資料が出てきます。何が必要なのか、こちらも弁護士からアドバイスを受けましょう。


協議で決まらなければ調停で親権を決める


ここまでは夫婦の協議で親権を決められる場合の話です。 これに対し、夫婦間だけで親権者を決められないケースもあります。この場合には以下で説明するように家庭裁判所を介した手続に頼ることになります。 まず行うのは「調停」です。親権者の指定を求めて家庭裁判所に調停を申し立てますが、親権争いは離婚の成立可否に関わってきますので、通常は親権の指定のみならず離婚調停の申し立てを行います。 調停でも当事者である夫婦の話し合いが軸になる点に変わりはありませんが、調停委員が間に立つことになり、より公正性を保持しやすくなります。法的な観点を交えることで、一方が不当に意見を主張し続けるような状況も避けられます。 ただ、調停でも最終的には合意が求められます。一方が同意をしなければ調停で決することはできないのです。


調停でも決まらなければ裁判で親権を決める


調停でも決められない場合、裁判で親権を決めることになります。 当事者の意見も斟酌されますが、最終的には裁判官が親権者を決めるのです。そのため一方が無理やり意見を通そうとしても、その内容が法的に無理のある内容だと実現はしません。

【裁判で親権を得るポイント】

裁判で親権を得るためには、法律上・制度上、自らの方が親権者としてふさわしい人物であると評価してもらわなければなりません。 ここで一番のポイントとなるのは「子どもの利益」です。 子どもに対する愛情も重要な基準ですが、気持ちの強さで決まるわけではなく、子どもにとって幸せなるのはどちらか、というところが見られます。具体的には、父母の健康状態や精神状態、経済力が評価対象となりますし、居住環境および教育環境等も考慮されます。 また、子ども自身の意思や年齢などもポイントになってきます。子どもが年齢を重ねているほどその子自身の意思は反映されやすいです。 また、これまで現実に監護を継続してきたという事実も親権を得るためには重要です。 これまでどちらが育ててきたのか、その間虐待などの問題はなかったか、という点も見られます。 他にも様々な事情が判断基準となります。以下でいくつか例を挙げます。  父母の健康状態、精神状態、経済力  居所環境  教育環境  子どもの意思  子どもに対する愛情  これまでの監護継続性  代わりに面倒を見ることができる人物の有無  兄弟姉妹の存在


親権の変更も可能


ここで挙げたいずれの方法で親権者を決めたとしても、その後いっさいの変更が認められないわけではありません。 経済状況や監護能力の低下が起こることもありますし、状況に応じて親権者変更の調停や審判を家庭裁判所に申し立てることができます。前の決定を覆すだけの特段の事情が必要になり、高いハードルとなりますが、変更が不可能ではないことは知っておくと良いでしょう。

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